プロジェクトマネージャがコストを考えるための原価計算的思考

▼1▲ 原価の分類 (4)間接労務費
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■ 原価の分類ということで、前回は直接労務費について話をしました。

今回から労務費について見ていきます。まずは直接労務費です。

さて、直接労務費を簡単に定義すれば「どの製品に使ったのかが明確にわかる
人件費である」ということができるでしょう。

では、人件費のうちどの製品に使ったが明確に分かるものとはどういったもの
があるのでしょうか。一言で言えば「その製品を実際に作っている時間である」
ということになります。焼鳥であれば、焼鳥を焼く専門の人が焼鳥を刺して、焼
いている時間ということになります。もし、レバーを焼くのに10分、皮を焼くの
に10分かかったのだったら、その人の時給を掛けてあげれば、どの製品にどれだけ原価がかかったのかがわかりますよね

これに対して、工場で働いている人でも、人件費や福利厚生などを取り扱う工場
経理の方の人件費であるとか、工場内で資材(鶏肉)を運ぶ人の人件費については、
工場でかかった費用(製造原価)ではありますが、その作業によって製品が何個製造できたのかといった製品との明確な関連性がなく、直接労務費としてでなく、間接労務費として扱われることになります。(詳細は次回お話します)

一般的には、焼鳥を焼いている人のように製品製造に直接携わっている人を「直
接工」、工場で働いていても資材を運搬するような、直接工をサポートする人を 「間接工」と言います。

そして、更に言えば直接工は常に製品を作っているとは限らないのです。
例えば、普段焼鳥を焼く専門の人が、皿を洗う時間もあるかもしれません。

その皿を洗っている時間の時給も人件費に変わりはないのですが、製品を作っているわけではありませんので、明確な関連付けをすることができません。このように直接工でも製品製造に携わっていない時間がある(これを間接作業時間といいます)場合には、直接労務費ではなく、間接労務費として扱います。なお、実際に焼鳥を焼いている時間、つまり製品製造に携わっている時間のことを直接作業時間といいます。

ですから、結論として直接労務費となるのは、直接工の直接作業時間部分のみであるといえます。

余談ですが、間接工は直接作業をしないのですか?という質問をいただきますが、答えは「しません」です。以前、焼鳥を一人前に焼けるようになるには3年の修行が必要であると家族のものから聞いたことがあります。突然普段皿を洗っている人が焼鳥焼くのは無理なんですね・・・。焼鳥も奥が深いです。

次回は間接労務費についてお話します。